Q 公正証書で建物賃貸借契約書を作成した場合において、賃借人が契約上の債務を履行しないとき、裁判手続を経なくても直ちに強制執行できると聞きましたが、立ち退きに応じない賃借人を強制執行で立退かせることもできるのですか?
A 確かに、債務者が債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨の陳述が公正証書に記載されている(これを執行証書といいます。)と裁判手続等を経ずに強制執行できることになります。
しかし、公正証書で強制執行できるのは、あくまでも金銭支払請求権や代替物の給付請求権に限られ、不動産・動産の引渡請求権について強制執行できません。
したがって、債権者たる賃貸人が執行証書によって強制執行できる場合とは、基本的に、賃借人の賃料不払いがある場合等といえ、公正証書を作成しただけでは、立ち退きを強制することはできません。