No.36-親権者指定の基準


 

Q 離婚するに際し問題となる親権者の指定はどのように行うのかについて教えて下さい。

 

 


 

A

<親権者の指定の方法>

⇒ 協議離婚する場合に、夫婦に子がいるときはどちらか一方を親権者として指定しなければなりませんが、その際、参考になるのは家庭裁判所で行われている親権者指定に関する基準です。

 

一般的に、家庭裁判所では、親権者の指定に関して、

親に関する事情として、監護に対する意欲・経済状況・実家の資産・教育環境等を、子に関する事情として、年齢・性別・子自身の意向等をそれぞれ考慮しています。

 

そこで、協議離婚時にも、双方で話し合う際も、上記の点に留意することが肝要といえます。

 

 

<親権と監護権の分離>

⇒ 協議で親権者を指定しようにも話し合いが不調に終わる場合も考えられます。そのような場合、まずは調停で親権者の指定を行い、調停でも話がまとまらなければ、審判で決着することになります。

 

もっとも、親権者の指定に関し、調停まで行くのは避けたいのであれば、円滑に協議をまとめる方法として、親権と監護権を分離して、対応することもあり得ます。

 

例えば、一方が親権の帰属を主張しているが、実は親権そのものを欲しているのではなく、単に子供と一緒に生活したいだけであるのならば、監護権の帰属で妥結する方法も考えられます。

 

しかし、このような親権と監護権の分離は法的に問題のある対処法であり、例外的方法と認識することが必要です。なぜなら、監護権者は代理権を持たない者なので、子供に関する諸々の各種申請・契約等において、その都度、代理権を有する親権者の協力を仰がなければならないためです。

 

したがって、離婚後、他方配偶者と関わりたくないというのであれば、親権と監護権を分離することは差し控えるべきといえます。

 

なお、15歳以上の子に関する親権が問題となっている場合、子の陳述を聴かなければならず、15歳未満の子であっても、家庭裁判所調査官により、子の意思を確認するよう努めなければならいとされています。