No.68-土地建物の遺産分割


 

Q 父親の死後、相続人は母親と長男と長女という場合で、父親の遺産として、自宅の土地建物しかなく、現在、その土地建物には長男(法定相続分4分の1)と母親(法定相続分2分の1)が住んでおり、長女(法定相続分4分の1)はすでに嫁いでいるため、その自宅には住んでいないとき、遺産分割方法はどのようにしたらいいのですか?

 

 


 

<不動産の遺産分割方法>

⇒ 土地建物の分割では、現実的な方法として、代償分割が考えられ、これは、ある相続人が不動産等の相続財産を取得する代わりに、当該相続人の相続分を越えて取得する形となった場合、その超えた部分について、金銭等を他の共同相続人に対して支払うという分割方法です。

 

上記のケースで、例えば母親・長男が老後その土地建物に住み続けるというのであれば、その土地建物を全部相続し、代わりに長男が長女に4分の1に相当する金銭等を給付する旨の合意をすることが考えられます。

 

また、不動産の遺産分割において、換価分割という方法も考えられ、これは、土地建物を一旦売却し、そこで得た売却代金を、相続分に応じて分配するという方法です。

 

上記のケースでは、母親・長男が父親の死後引き続き土地建物に住み続けるというのであれば、換価分割という方法は採れないものと考えられます。

 

 

<不動産の遺産分割の協議がまとまらない場合>

⇒ 不動産の遺産分割協議がまとまらない場合、共有分割することが考えられ、これは、土地建物を共有という形で相続させ、仮に父親の死後引き続き母親・長男がその土地建物に住み続けるというのであれば、姉の相続分を対象として姉から母親・長男に対して使用貸借・賃貸借させることが考えれます。

 

ただ、共有分割は問題を先送りしただけになるため、後日問題が再燃することもあり、注意を要します。