【意義】
eスポーツスポンサー契約書は、スポンサー企業がeスポーツ選手にスポンサー料、商品、サービス等を提供する代わりに、eスポーツ選手が選手としての活動中に自らの知名度を利用して、そのスポンサー企業のロゴが記載されたウェアを着用すること等を通じてスポンサー企業のイメージ向上等を図るために締結されます。
なお、eスポーツスポンサー契約では、eスポーツ選手が未成年者であることがあるため、その場合には、親権者の同意を得た上で契約の締結を行う必要があります。
【協賛内容】
スポンサー企業又はeスポーツ選手がそれぞれどのようなことを行うのかを明確にしておかないとトラブルの原因になるため、eスポーツスポンサー契約では、次のような形で協賛内容を具体的に規定します。
「スポンサー企業からeスポーツ選手に対して行う内容」
スポンサー料の支払
「eスポーツ選手からスポンサー企業に対して行う内容」
(1)選手としての活動中におけるスポンサー企業のロゴが表示されたウェアの着用又はスポンサー企業が提供した用品の使用
(2)ソーシャルメディアの配信時におけるスポンサー企業が指定するロゴの表示
(3)スポンサー企業のマーケティングのための写真若しくは動画の撮影又は録音への参加
(4)スポンサー企業が開催するイベントへの参加
(5)自らのソーシャルメディアにおけるスポンサー企業の商品又はサービスの投稿又は発信
(6)スポンサー企業が自らの商品又はサービスにeスポーツ選手の肖像を使用することの承諾
ただし、上記のウェアの着用については、状況によりその着用が相応しくないことがあるため、その場合には、eスポーツ選手の判断でこれを行わないことができるとすることがあります。
【スポンサー企業のロゴをウェアへ表示する場合の制作費用】
eスポーツ選手がスポンサー企業のロゴが表示されたウェアを着用することになった場合、そのロゴをウェアへ表示するための制作費用については、スポンサー企業が負担する旨をeスポーツスポンサー契約に規定することがあります。
【イベントへの参加時の注意点】
選手活動に支障が生じないようにする観点から、スポンサー企業が開催するイベントへeスポーツ選手が参加するときは、事前にスポンサー企業とeスポーツ選手との間でその日時、参加方法等を協議して取り決めることが望ましいとされます。
【スポンサー料】
eスポーツスポンサー契約におけるスポンサー料については、次のいずれかの形をとることが多いといえます。
(1)固定金額をもってスポンサー料とするもの
(2)大会出場回数、配信回数、大会成績等に応じてスポンサー料を変動させるもの
(3)上記の(1)及び(2)を組み合わせたもの
【炎上行為の抑止】
eスポーツ選手による炎上行為を抑止するため、eスポーツスポンサー契約では、ソーシャルメディア内の規約違反行為又はゲーム内のあおり行為の禁止等eスポーツ選手がしてはならないことが規定されます。
【任意解除権】
eスポーツ選手が未成年者であることがあり、その場合、進学又は就職に伴い、選手活動を中断する場合があります。
そこで、eスポーツスポンサー契約では、スポンサー企業及びeスポーツ選手のそれぞれに一定の予告期間を設けた上での任意解除権を認めることがあります。
【優先交渉権】
スポンサー企業がeスポーツスポンサー契約の継続を見越して、その契約終了時の一定期間前までの間、eスポーツ選手が第三者との間で自らの肖像の使用又は協賛に関する契約の交渉をしてはならないとすることがあり、eスポーツスポンサー契約の更新について、スポンサー企業に優先交渉権を認めることがあります。