カメラマン業務委託契約書の意義


【意義】

カメラマン業務委託契約書は、委託者が受託者(カメラマン)に対して写真の撮影業務を委託する場合に用いられる契約書で納品を受ける写真の仕様、納品方法、検収、委託料、再委託の可否、契約不適合責任、著作権の帰属、保証等の項目が規定されます。

 

カメラマン業務委託契約は、受託者が撮影を行った上で写真を完成させることを内容とした契約であり「仕事の完成」を観念できるため、請負型の業務委託契約と考えられます。

 

 


【写真の仕様

納品を受ける写真の仕様が不明確だと受託者が納品した写真が実際に契約不適合に該当するものか否かが判然としなくなるため、仕様を明確に定める必要があります。

 

具体的には、撮影する写真のテーマ、カラー又はモノクロの別、写真のサイズ等によって特定することが考えられます。

 

もっとも、契約締結時に仕様が確定しない場合もあり、その場合は、カメラマン業務委託契約書において、契約開始後に別途仕様書等を取り交わすことにより仕様を確定させる旨の規定を定めることになります。

 

 


【納品方法】

写真の納品方法としては、現像した写真そのものを送付する方法、写真データをメール送信する方法、写真データを書き込んだCD-ROMを送付する方法等が考えられ、当事者間の認識の相違を防止するため、実際に行う納品方法を明記しておくことが必要です。

 

なお、現像した写真そのものを送付する方法又は写真データを書き込んだCD-ROMを送付する方法で写真を納品する場合には、現像した写真そのもの及び写真データを書き込んだCD-ROMにそれぞれ有体物としての所有権が観念できるため、所有権の移転時期に関する取り決めをすることが重要となります。

 

 


【著作権の帰属】

受託者が自ら撮影した写真は、受託者が創作したものであるため、一次的には受託者に写真の著作権が帰属します。

 

委託者が受託者から納品を受けた写真について複製等の利用を行うためには、受託者から著作権(著作権法第27条及び同法第28条に規定する権利を含みます。)を譲り受け、又はその利用についての許諾を得る必要があるため、カメラマン業務委託契約において、著作権の譲渡条項又は利用許諾条項が定められます。

 

なお、委託者が受託者から著作権を譲り受けても、著作者人格権までは譲り受けることができないため、カメラマン業務委託契約では、写真の一部改変に備えて著作者人格権の不行使条項が定められることがあります。

 

 


【保証】

納品された写真が他人の著作権、プライバシー権等を侵害しているような場合、これを委託者が利用してしまうと著作権侵害等を理由にこれらの権利者から損害賠償請求等を受ける可能性があります。

 

そのため、カメラマン業務委託契約においては、納品された写真について他人の権利を侵害していないことを受託者が委託者に対して保証し、もし、委託者が第三者から著作権等の主張、利用料の請求、損害賠償請求等を受けた場合には、受託者が自らの責任と費用負担でこれらに対処する旨の条項を設けることがあります。