コンソーシアム契約書の意義


【意義】

コンソーシアム契約書は、企業、大学、自治体等の間で共同研究、建設工事等共通の事業を行うために共同体を組成する場合に用いられる契約書をいいます。

 

コンソーシアム契約では、協議会の設置、会費、脱退、新規加入、役割分担等の規定が定められることが多いといえます。

 

 


【協議会の設置】

協業が円滑に進むようにするため、各当事者から委員を選任し、その委員で協議会を設けることがあり、その協議会において、共同事業の具体的な実施方法、進捗状況等について決議を行うことになります。

 

また、コンソーシアムにおいて、中心的な役割を担う者として主幹事を選任する場合があります。

 

 


【会費】

コンソーシアムの運営の原資に充てることを目的として、各当事者が所定の会費を負担する場合があります。

 

ただし、実務では、当事者が大学等の研究機関である場合には、その当事者については、会費を無償とすることがあります。

 

 


【脱退】

コンソーシアム契約に違反した当事者については、他の当事者の過半数の同意をもって脱退させることができるとすることがあり、この脱退は、契約解除の意味合いとなります。

 

この他にも、ある当事者が銀行取引停止処分を受けたときは、他の当事者の過半数の同意を得ることなく、単独でその当事者を脱退させることができるとすることがあります。

 

なお、コンソーシアムへの参加のハードルを下げ、多くの者がコンソーシアムへ参加できるようにするため、いつでも任意に脱退できるとすることがあります(=任意脱退の自由の確保)。

 

 


【新規加入】

第三者がコンソーシアムに新規に加入することを望む場合には、協議会の過半数の同意によりその加入を認めるとすることがあります。

 

 


【役割分担】

各当事者の役割を明確にしておかなければ、ある役割について、未着手といった事態が生じ得るため、各当事者の役割をコンソーシアム契約に規定することになります。

 

 


【知的財産権の帰属】

コンソーシアムの運営の過程で生じた知的財産権の帰属について明確にしておかないと、各当事者が思わぬ形で知的財産権を利用できない事態が生じ得るため、コンソーシアム契約では、次のような形でその帰属について定めることが多いといえます。

 

(1)誰が発明等をしたのかを問わず、特定の当事者に単独で知的財産権を帰属させる方法

(2)誰が発明等をしたのかを問わず、共有により全ての当事者に知的財産権を帰属させる方法

(3)知的財産権の発明等をした者に知的財産権を帰属させる方法

 

 


【知的財産権の利用】

ある当事者が他の当事者の知的財産権の利用を希望する場合には、協議会で過半数の同意を得た上でその知的財産権を有する当事者が一旦ライセンス窓口となる当事者にその利用を許諾し、その窓口となる当事者から知的財産権の利用を希望する当事者へその利用を再許諾する形がとられます。

 

これは、コンソーシアム契約の当事者が増え、知的財産権の共有者の数が増加してきた場合に、知的財産権の利用許諾について、共有者全員の同意を得ることが困難になるおそれがあるため、このような方式が用いられます。

 

 


【大学等の研究機関が当事者である場合の知的財産権の利用】

大学等の研究機関の研究、開発又は教育に支障をきたすことがないよう、大学等の研究機関がこれらの目的で知的財産権を利用するときは、知的財産権を有する他の当事者が大学等の研究機関に対して知的財産権を行使しない旨が規定されることがあります。