【意義】
マネジメント契約書は、アーティスト、作詞家等が芸能事務所又は芸能事務所が指定する者のために創作、実演等の芸能活動を行い、その対価として芸能事務所から一定の印税、出演料等の報酬を得る場合に用いられる契約書です。
なお、マネジメント契約は、アーティスト、作詞家等から芸能事務所にマネジメント業務を委託している面があるため、報酬が支払われる際に、芸能事務所の取り分として、一定の手数料が差し引かれる形が一般的です。
【専属又は非専属の別】
マネジメント契約では、アーティスト、作詞家等が芸能事務所から芸能活動の実施の委託を受けた案件のみならず、自らが獲得してきた案件も含めた全ての案件について、芸能事務所がマネジメントを行う「専属型」と他の芸能事務所から紹介を受けた案件でも芸能活動を行い、又はどこの芸能事務所を通さずに個人で案件を受けることができる「非専属型」の二つがあります。
【権利の帰属】
専属型のマネジメント契約では、芸能事務所は、アーティスト、作詞家等から著作権法上の権利(著作権法第27条及び同法第28条で定める権利を含みます。)を全て譲り受けた上でマネジメント業務を行うことが多いといえます。
【報酬の定め方】
マネジメント契約における報酬の定め方としては、以下の3種類の方法があります。
(1)固定制
(2)歩合制
(3)固定制+歩合制の併用
なお、アーティスト、作詞家等と十分な協議を行うことなく一方的に著しく低い報酬による取引を要請すると独占禁止法上問題となり得る場合があります。
【経費の定め方】
アーティスト、作詞家等の芸能活動においては、メイク代、衣装代、交通費等の経費が生じ得るため、こららの経費をどちらが負担するのかをマネジメント契約書に規定するのが通例です。
【SNSの取扱い】
近年では、アーティスト、作詞家等がSNSで様々な情報を発信又は告知するケースが多くなってきているところ、その使い方を誤ると炎上し、又は他人の権利侵害(著作権、肖像権等の侵害)を引き起こす場合があります。
そのため、SNSの取扱い方針について、マネジメント契約書に取り決めることも有用と考えられます。
【案件に対する応諾】
専属マネジメント契約では、芸能事務所がアーティスト、作詞家等に案件への芸能活動の実施を委託することになりますが、アーティスト、作詞家等に個々の案件に対する応諾の自由を認めないと当事者間に雇用契約があると判断される可能性があるため、一旦引き受けた案件を除き、アーティスト、作詞家等に案件への応諾の自由を認める必要があります。