【意義】
技術顧問契約書は、委託者がコンサルタントその他の一定の知見を有する技術顧問(受託者)に対して製品の計画、設計開発、製造等についての技術指導業務を委託する場合に用いられる契約書で、委託する業務の詳細、報酬の算定、著作権の帰属、成果の不保証等の項目が規定されます。
技術顧問契約は、技術顧問(受託者)が委託者に対して仕事の完成を約束するものではなく、善管注意義務をもって、製品製造の技術指導業務を処理する場合の契約であるため、類型としては、準委任契約であると考えられています。
【技術指導業務の詳細】
技術顧問契約では、技術顧問(受託者)が債務を履行しているか否かの判断基準を明確にするため、技術顧問(受託者)が委託者に対して実施する技術指導業務の内容、実施方法等の詳細を定めることが重要です。
例えば、「委託者の事業所、委託者の製造工場その他の場所まで技術顧問(受託者)が直接に訪問して技術指導業務を行うのか?電話相談又はメール相談に応じてもらえるのか? 電話相談又はメール相談には、回数制限があるか?1か月当たりの業務稼働可能時間は、何時間までか?」等が問題となります。
【委託者の事業所等へ訪問する場合】
技術指導業務を実施するに際し、技術顧問(受託者)が委託者の事業所等へ訪問するする場合には、技術顧問(受託者)は、その事業所等で適用される施設規則に従わなければならないことが規定されることがあります。
【報酬の算定】
継続的な技術顧問契約では、月額報酬制が採用されることが多いといえます。
なお、単発案件の技術顧問契約では、あらかじめ個別の業務毎に報酬額を決めておき、その業務が行われる毎に報酬が支払われる形にする場合があります。
【成果の無保証】
受託者に対して技術指導業務の実施を委託すれば、必ず売上増大、財務状況の改善、業務能率の向上等が生じると誤解する委託者もいるため、技術顧問契約では、技術顧問(受託者)は、委託者が希望していた特定の目的が実現されることまでを保証しないことが規定される場合があります。
【再委託の制限】
技術顧問契約は、技術顧問(受託者)の知見、経歴、業務遂行能力等を信頼して締結されるという背景から、技術顧問(受託者)が第三者へ技術指導業務を再委託することは、委託者の事前の承諾がない限り、禁止されることが多いといえます。
【知的財産権の帰属】
技術指導業務の実施過程において、新たに発明、考案、意匠、著作物、商標、ノウハウ等が生じ得るため、技術指導契約において、これらの知的財産権の帰属をあらかじめ定めることが多いといえます。