農機共同利用契約書の意義


【意義】

農機共同利用契約書とは、農業ロボット、自動運転農機等のスマート農機を所有している生産者が近隣の生産者にこれらを貸し出す形でスマート農機を多数の生産者間でシェアリングする場合に用いられる契約書のことをいいます。

 

スマート農機は、一般的に高価なものであり、これを単独で導入できない中小規模の生産者にとっては、メリットといえます。 

 

 


【対象の特定】

 

シェアリングの対象となるスマート農機を次の項目により特定することになります。

 

(1)メーカー名

(2)種類

(3)型式

 

 


【スマート農機を利用する場合の申込み】

 

近隣の生産者がスマート農機を利用することを希望する場合には、近隣の生産者は、スマート農機所有者に対し、次の項目を記載した書面を提出し、又は次の事項を電磁的方法により通知して申し込む形になります。

 

(1)利用希望期間

(2)利用用途

(3)利用期間中の保管場所

(4)返却予定日

 

上記の申込みがあった後にスマート農機所有者がその申込みを行った近隣の生産者に対してその諾否を回答する形になります。

 

なお、近隣の生産者による申込みが競合した場合には、先着順にし、又は当事者間による協議で解決することが考えられます。

 

 


【利用期間】

農機共同利用契約では、1回の申込みについての利用期間の上限を定めることになります。ただし、天候不良等により利用期間内に予定されていた農作業が完了しない場合もあり得るため、その場合には、協議により利用期間を延長できるとすることがあります。

 

ただし、利用期間の延長は、スマート農機の利用を希望する他の近隣の生産者に影響を及ぼすため、利用期間の延長を認めない形にすることもあります。

 

 


【契約不適合責任】

民法上、契約不適合責任は、売買契約のみならず他の有償契約にも準用されるため、農機共同利用契約にも準用されると考えられます。

 

そのため、スマート農機の性能が契約内容に適合しないときは、スマート農機を利用する近隣の生産者がスマート農機所有者に対して利用料金の減額又はスマート農機の修繕を請求できるとすることがあります。