音楽制作業務委託契約書の意義


【意義】

音楽制作業務委託契約書は、委託者が受託者に対して音楽の制作を委託する場合に用いられる契約書をいいます。

 

音楽制作業務委託契約では、音楽の内容、音楽の納入方法、著作権の帰属、著作者人格権、保証、委託料等が規定されることが多いといえます。

 

 


【音楽の内容】

受託者が制作を行う音楽の内容については、概ね次のような事項により特定することになります。

 

(1)分類

(2)⾳楽のテーマ

(3)ジャンル

(4)尺

(5)曲調

(6)使⽤楽器

 

 


【音楽の納入方法】

音楽の納入方法については、主に受託者が制作した音楽を一定期日までにDVD、オンラインストレージ、ファイル転送サービス等で納⼊する方法が考えられます。

 

 

なお、上記のDVDのように有体物を納入する場合には、所有権の移転時期が問題となるため、その取扱いを音楽制作業務委託契約に規定することが重要となります。

 

 


【検査】

受託者から納⼊された音楽について「仕事の完成」があったか否かを委託者が検査する旨の条項が音楽制作業務委託契約に規定されることが多いといえます。

 

 


【権利の帰属】

音楽制作業務委託契約における権利の帰属については、概ね次のいずれかの形で処理することになります。

 

(1)受託者に音楽の著作権を帰属させ、受託者から委託者へその利用を許諾する方法

(2)受託者から委託者へ音楽の著作権を移転させる方法

(3)受託者から委託者へ音楽の著作権を移転させ、委託者から受託者へその利用を許諾する方法

 

 


【著作者人格権】

音楽を制作した受託者には、著作者人格権として同一性保持権、氏名表示権及び公表権を有しているところ、これらを受託者が行使すると必要であるにもかかわらず委託者が音楽の一部を改変できない等委託者にとって使い勝手が悪くなる場合があります。

 

そこで、音楽制作業務委託契約においては、音楽本質的部分を損うことが明らかな改変である場合を除き、委託者が音楽を利⽤するに際し、その利⽤態様に応じて音楽の一部を変更し、又は切除することができる旨の条項が規定されることがあります。

 

 


【保証】

音楽制作業務委託契約では、受託者から委託者に対して音楽が第三者の著作権、プライバシー権、名誉権、パブリシティ権その他いかなる権利をも侵害しないことを保証し、万⼀、音楽に関して、第三者から権利の主張、異議、苦情、対価の請求、損害賠償の請求等がなされたときは、受託者が⾃らの責任と費⽤負担においてこれらを処理解決することとし、委託者に⼀切の損害を及ぼさない旨の条項が規定されることがあります。

 

 


【委託料】

「委託料の要素」

音楽制作業務委託契約における委託料には、通常、次の要素が含まれています。

 

(1)音楽制作の作業それ自体の対価(=作業料の意味合い

(2)(委託者が受託者から著作物の利⽤許諾を得る場合)著作物の利⽤許諾の対価

(3)(委託者が受託者から著作権の譲渡を受ける場合)著作権の譲渡の対価

 

「委託料の算定方法」

委託料の算定方法については、主に(1)定額払いにする方法、(2)上演数、聴数等を基準とした出来高払いにする方法があります。