【意義】
婚約合意書は、将来婚姻することを合意(=婚約)した場合に用いられる合意書で、婚約が成立すると互いに誠意をもって交際し、婚姻を成立させるように努力しなければならないとされます。
婚約合意書においては、婚姻に至るまでの予定、婚姻の届出、婚約を不当に破棄した場合の損害賠償額、婚姻後の氏等の事項が定められます。
婚約合意書を作成すれば、結納の授受等婚姻に向けた具体的な事実がなくても、婚約の成立を明らかにすることができます。
なお、婚姻は、双方の任意の意思によってのみ成立することから、婚約合意書を取り交わしても相手方に対して婚姻の届出を強制することはできません。
【結婚式の時期等】
結婚式を行う時期及び場所を婚約合意書に規定されることがあります。
なお、これらに加えて結婚式の実施に際して生じる費用負担についても取り決めることがあります。
【婚姻の届出】
双方又は一方が婚姻の届出を一定の期日までに行うことが規定されることがあります。
【婚姻中に称する氏】
婚姻中に称する氏をどちらにするのかが規定されることがあります。
【婚約を不当に破棄した場合の損害賠償額】
婚約を不当に破棄すると破棄した当事者は、相手方に対し、婚約に係る債務不履行責任又は不法行為責任に基づき損害賠償責任を行うことになりますが、損害額の立証の負担を軽減する等の目的でその損害賠償額をあらかじめ合意しておくことがあります。
婚約の不当破棄による損害賠償の範囲には、次のものが含まれるとされます。
(1)財産的損害(ex.結婚式及び新婚旅行のキャンセル料)
(2)精神的損害
なお、損害賠償責任の対象となるのは、あくまでも婚約を不当に破棄した場合であり、相手方からの暴力、相手方の経済的破綻又は多額の借金その他これらに類する事由(=正当な事由)があれば、婚約を破棄しても損害賠償責任を負いません。