【意義】
枝の切除に関する合意書は、隣地の枝が自らの土地に越境してきた場合にその土地所有者、地上権者又は土地賃借人と竹木の所有者との間で取り交わされる合意書になります。
枝の切除に関する合意書において、土地所有者等が枝を切除する場合には、竹木の管理義務、枝の切除等に関する事項が、枝の越境を土地所有者等が許容し、竹木の所有者が償金を土地所有者等へ支払う場合には、枝の越境の許容、償金の支払等に関する事項がそれぞれ規定されます。
なお、枝が越境している場合でも土地所有者等に何らの害を与えない場合には、その切除の請求は、権利の濫用として認められないとされることがあります。
【竹木の管理義務】
再び枝が土地所有者等の土地に越境しないようにするため、竹木の所有者に枝の剪定を行うことを義務付けることになります。
【枝の切除】
隣地から越境してきた枝を切除するためには、民法上、土地所有者等が竹木の所有者に対して枝を切除するよう催告する必要がありますが、実務では、その催告なしに土地所有者等がその枝を切除できる形にすることがあります。
また、その切除に伴う費用の負担については、民法上、明文の規定がないため、どちらが負担するのかを規定することが重要になります。
【合意内容の承継】
土地所有者が土地の所有権を第三者に譲渡した場合、第三者に対して土地所有者と竹木の所有者との間で締結した枝の切除に関する合意の効力が当然に及ぶわけではありません。
そこで、土地所有者が土地の所有権を第三者に譲渡した場合、土地所有者に対してその第三者に枝の切除に関する合意の効力を承継させることを義務付けることがあります。
【枝の越境の許容】
土地所有者等が枝の越境を許容し、竹木の所有者に異議を述べない旨が規定されます。
【償金の支払】
枝の越境を許容し、これにより生じた清掃費用及び落ち葉の対策で生じた工事費用を竹木の所有者に負担させることを目的として、竹木の所有者が土地所有者等へ毎年定期に一定の償金を支払うとすることがあります。